フランス語男性形・女性形を平等に扱う「L'écriture inclusive」導入?
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フランス語には性別があり、いろいろとややこしい。
フランス語学習を始めると、相当数の方が名詞に男女の性別があるという「なんでやねん」に直面するかと思います。
そして、名詞の性別により、それに連なる動詞や形容詞にも「e」がついたりつかなかったりすることに、また「なんでやねん」と。
でも、フランス語についてブツブツ言おうものなら、隣のフランス人(夫)から「おう、そういうこと言うなら、こっちにも日本語について言いたいことがある」と100でも1,000でもブツブツが返ってくるので、もう「フランス語とはそういうものである」と受容して、日々学習しているわけです。
そんな中、現在フランスでは、このフランス語の男女の性を平等に扱うための書き方「L'écriture inclusive」(インクルーシブ書法)の導入について議論がなされているそうです。
フランス語初級者で、フランス語について知っていることよりも知らないことのほうが多い私には「ああ、そうなの」という感じですが、ネイティブの人はもちろん、ながらく現在のルールでフランス語に親しんできた人には、決定すればけっこう衝撃の大きい変化になるのではないでしょうか。
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この書き方(L'écriture inclusive)の大きなポイントは3つ。
1)職業に関する名詞の性を一致させること
〈例〉 パン屋 (男)Boulanger (女)Boulangère
現在のルールでは、男女のパン屋さんがいた場合、男性形が優先されるので、これを変えていこうということだそうです。
2)Hommeで「人間」を代表しないこと
例えば、Hommeは「男性」という意味の他に、「人間/人類」という意味も持っています。「人間/人類」という表現をする際にはHommeではなくHumainを使うべきでは、ということだそうです。
3)男性形・女性形を併記すること
「L'écriture inclusive」に基づいて表記すると、下記のようになるそうです。
- 友達 ami(e)s → ami.e.s
- サラリーマン salarié(e)s → salarié.e.s
- 先生 professeur(e)s → professeur.e.s
単語だけでみると(e)がピリオドで区切るようになっただけという感じです・・・(赤文字のところに注意)。
ところが、男性と女性で単語の末尾が変わる単語の場合だと
- 読者(複数) (男)lecteurs/(女)lectrices → Lecteur.rice.s
よ、読みにくい。そして、これ発音はどうなるの?
初級者の私でも「おっとっと」となるのに、ネイティブや上級者の人にとってはけっこう「なんでやねん」なことなのではないでしょうか。
政府は「L'écriture inclusive」は使用しない?
エドゥアルド・フィリッポ首相が2017年11月22日、政府の公式文書においては「L'écriture inclusive」(インクルーシブ書法)を使用禁止とすることを発表しました。
フランス語はアカデミーフランセーズという機関が新語なども含めて厳密に管理しているほどの国なのに、肝心の国の最高機関が使用しないなら、その書法って定める意味があるのかしらという疑問がふつふつと出てきます。
「そんなことよりさぁ… 」という気持ちを代弁してくれてる人がいた。
男女の性差をなくすために、政府も使わないかもしれない書法をさだめるよりも、そもそも他にできることはあるのでは?
そんな「L'écriture inclusive」(インクルーシブ書法)についてのもやっとした私の気持ちを、すっきりと代弁してくれている人がいました。
この男性はポール・テイラー。フランス在住のイギリス人コメディアン。
ちょうど彼がインクルーシブライティングについての動画を出していました。
彼は言います。
「男女平等を実現する解決策は言語じゃない。その証拠に、英語には男女の性別がないけど、いまだにこんなクソ野郎を生み出している(ハーヴェイ・ワインスタインの写真を出しながら)。給料を同等に支払うとか、地位を与えるとか、男性側の姓に変えることを強いないとか、そういうことをやれば性差はなくなる。」
だよねぇ…。
彼の動画、面白いので是非見てみてください(※英語・仏語字幕です)。
どうあれ初心者はコツコツと...。
日本語もフランス語も、言葉は時代とともに変化していくもの。
変わって行くことを拒否することはできませんが、ひとまずフランス語初心者の私はコツコツと語彙力と基本的な文法を向上させていくことをがんばりたいと思います。
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