フランス語ゼロからのニース生活

2016年に夫と猫とともに、フランス語ゼロで日本からフランスへ移住してきました。

ヨーロッパは母語プラス2言語を学ぶー世界を開くためにー


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NHKラジオ講座「まいにちフランス語」のテキストは、授業内容以外に掲載されているコラムも結構読み応えがあり、時間のあるときに目を通しています。

2018年3月号のテキストP.13のコラムがとても考えさせられる内容だったので、仏語学習中&バイリンガル育児中の自分の備忘録も兼ねて紹介します。

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NHKラジオまいにちフランス語2018年3月号P.13「つながる」より 

例えば、ひとびとがみな、母国語の他に英語だけを学ぶとします。

 

英語を母語とするひとは、他の言語を学ぶ必要はありませんし、英語を母語としないひとびと同士でも、コミュニケーションは英語で取り合います。英語以外の言語は、ただ母語話者間で使われるだけです。

果たして社会は、人類は、持続と安定を保てるでしょうか。

 

日本語母語話者が英語以外の言語を学ばない姿は、他の言語の母語話者に対して、日本語を学ぶひとなんていなくてもいいと伝える身ぶりに見えます。それは誰もが英語を学べば良いという身ぶりでもあります。

 

このような展望での英語学習は、単なる情報交換の言語の獲得であり、次第に言語に文化や価値を必要としない言語観に向かっていくことでしょう。それは人生観や世界観にも投影されていくに違いありません。

 

ヨーロッパでは、母語プラス2言語を学ぶことが域内の教育の柱として共有されています。外国語を1つ学ぶだけでは、世界が閉じていく力に加担してしまうことになってしまう。「プラス2言語」の教育理念は、域内の文化多様性をヨーロッパの価値として認め、この多様性と価値を損なうことのない社会基盤を建設するために合意されたものです。経済の活性化にも効果を上げています。

 

日本では、英語以外の言語として、以前からドイツ語やフランス語が学ばれてきましたし、中国語やロシア語に韓国語、またスペイン語やマレー語などが学ばれる文化も育っています。しかし、どうも世界を閉じていく力の高まりが至るところで感じられます。

 

フランス語(もちろん他の言語でも)を学ぶことで、あなたは、世界を開く方向に働きかけていることを誇りに思ってください。そして、みなさんとこの学びの輪をひろげていきましょう。

 

引用:NHKラジオ まいにちフランス語2018年3月号P.13「つながる」より

コラム内容に賛否はあるかもしれませんが、私は「なるほどな」と割と肯定的に捉えています。そして、「母語プラス2言語」政策のことを初めて知り、新しい発見でした。

 

EUの言語教育政策「母語プラス2言語」とは

上記のコラムで、ヨーロッパの「母語プラス2言語」政策について初めて知りました。 そこでちょこっとインターネットで検索。様々な論文がヒットしましたが、下記が分かりやすかったので抜粋して引用。

EUの言語教育分野に関する活動は、ヒト、モノ、資本、サービスの自由な移動を目指し、単一市場の創造を目的として進められてきた。人々の真に自由な移動には、市民による実際のコミュニケーションが不可欠であり、そのために互いの言葉や文化の知識が必要であると考えられてきた。東欧諸国のEU加盟により、言語学習の重要さに対する認識はますます強くなっている。また、EUは、特定の言語が支配的になり弱小言語が消滅の危機にさらされることを懸念し、地域語や加盟国の少数派言語を尊重する多言語主義(multilingualism)をとっており、この観点からも言語教育の多様化を推進している。これらの背景から、EUの言語教育政策では以下の点が繰り返し強調されている。

  • すべてのEU市民が母語プラス二つのEU言語を習得すること

  • できるだけ早い時期に言語学習を開始すること

  • 学習者や教師の移動により、言語・文化学習の機会を増やすこと

  • 新しい教授法を推進し、そのために教員の教育を充実させること

  • 使われることや教えられることが少ない言語(less widely used and lesser taught lan-guages: LWUTL)の学習を促進すること

(Council of Europe Council of the European Union (1995)および European Commission(1996)より抄訳)

引用:

国際交流基金 - ヨーロッパにおける日本語教育事情とCommon European Framework of Reference for Languages

https://www.jpf.go.jp/j/publish/japanese/euro/pdf/01-1.pf

 

フランス語は私の「プラス2」番目の言語、そして世界は広がる

大学時代は徹底的に英語、第2外国語は習わない方針の学部に入りました。そして、そこでの英語学習はまさに「情報交換の言語の獲得」のためでした。これで夫ともコミュニケーションが取れた訳なので、私の人生においては非常に理に叶っていました。

そして、私にとって今まさに奮闘しているフランス語が初めての第2外国語。

世界が広がったか?

何か勝手に広がったよ!って感じです。

移民局(OFII)の語学学校しか行っていませんが、言葉を習いながら文化習慣歴史を叩き込まれるわけなので、外国語を習うって、言葉だけ知ってたら良いってもんでもないことを日々感じています。 

ちなみに夫は、イタリア語を習っていたそうです。レベルは挨拶と簡単なやり取りができる「初級」くらいだそう。

 

フランス人である娘を育てるため、ある意味英語より重要に。

さらに、フランスで出産した私には、フランス語は今や英語より重要言語。日本語もしっかり学んでもらいたいけれど、彼女の「母語=フランス語」になるのは確実。

成長した我が子とちゃんとコミュニケーション取りたいですもの。

日々精進です。

 

なお、英語は渡仏してから、映画を英語音声・英語字幕で見ることが格段に増えた(だって日本語字幕ないんだもん)ためヒアリング力がものすごく向上しました。これは棚ぼたでありました。